ボルドーワインです。
五大シャトーの一角、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドが手掛けるデイリーワインです。
エチケットを見てみましょう。あまり可愛くない絵が描かれていますが、これがアニョーですね。アニョーとは、フランス語で仔羊のことです。
葡萄の種類は記載されていないのですが、ネットで調べると、メルロ/カベルネ・ソーヴィニヨン/カベルネ・フランのブレンドのようです。
フランクフルト出身のロスチャイルド家が歴史に名を刻んだのは、18世紀中頃、神聖ローマ帝国の時代です。
マイアー・アムシェル・ロートシルト(ドイツ語でロートシルト、フランス語でロスシルド、英語ではロスチャイルドになります。ここではロスチャイルドで統一します)が金融業で成功し、彼の息子達がヨーロッパの各都市に銀行の支店を作るようになります。
やがてその金融資本は、不動産、鉱業、エネルギー、農業、ワイン醸造などに投下され、巨大な財閥になって行きました。

ボルドーでは、第1級のワインを製造する五つの醸造所=シャトーが有名ですが、このうちのふたつがロスチャイルド家のものなのです。
ひとつは、フランスのロスチャイルド家が投資したシャトー・ラフィット・ロスチャイルド、そしてもうひとつが、イギリスのロスチャイルド家が投資したシャトー・ムートン・ロスチャイルドになります。
このシャトー・ムートン・ロスチャイルドを経営するのが、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドです。
ボルドー、ジロンド川の左岸、ポイヤックにこのシャトーはあります。
(赤丸のあたり)
シャトー・ムートン・ロスチャイルドはナサニエルという人が築いたものですが、彼の死後、このシャトーを受け継いだのがバロン・フィリップです。
彼は、元々樽で流通していたワインをシャトーでビン詰して流通させたり、ラベルをアーチストにデザインさせるアートラベルを導入したり、葡萄が不作の年に廉価なブランド、ムートン・カデを展開するなど、シャトーの大改革に乗り出します。
さらには、アメリカにジョイントベンチャーし、かのオーパス・ワンを作ったり、チリのアルマヴィーバに投資するなど、ボルドーの醸造技術を各地に広めていきました。

さて、スーパーで千円ちょっとで買ったアニョ-・ルージュはどんなものでしょう。
あまり期待せずに頂いたのですが、なかなか立派なものです。
(AOC表記はBORDEAUXとあります)
色調は濃いラズベリー色、黒系果実の香り、シナモンっぽい香りも上がってきます。
バランスの取れた甘味と酸、ふくよかな果実味が口いっぱいに広がります。抜栓したてはちょっと尖っていたタンニンもしばらく置くとまろやかになりました。
充分に価格以上のクオリティを感じます。シャトームートン、さすがです!
さあ、これに何を合わせるか。
やはりアニョーにはアニョーでいきましょう。
葡萄品種:メルロ/カベルネ・ソーヴィニヨン/カベルネ・フランのブレンド
アルコール度数:12.5%
ミディアムボディ
スクリューキャップ
インポーター:エノテカ(株)
サミットストアにて税込み千円少々